東北コンクリート製品協会会報No.7 2017年9月15日発行
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― 3 ―平成29年願い共存共栄ダムが出来たことによって、どのようなメリットがあるのかを考え、住民の同意を得るべきです。当然のことですが、それによってマイナスを被った人びとに対する補償についても考える必要があります。6.事業の賛否この事業に対する賛否が分かれ、まとまらなかったのも長引いた要因です。賛成意見を要約しますと、八ッ場ダム検証委員会の総合評価で表わされるように、具体性のない表現<洪水調節、新規利水について、八ッ場ダム案が最も有利な案>になります。反対意見の底流には行政に対する不信感があります。立ち退きや移転に利点がなく、商売<八ッ場の場合の一例として温泉宿>の上でマイナスになることなどがあります。中止になったとき、大学学科のクラス同窓会のメールネットでも、ひとしきり話題になり、賛否両論が飛び交いました。7.他の事業公共事業の件は、一度は取り上げねばならないと思っておりました。東の八ッ場、西の川辺川(ときによっては大滝川)と言われていた大型公共事業ですが、川辺川ダム(熊本県)の方は事実上中断し中止になりそうです。それと同時に八ッ場ダムがさらに注目され始めた次第です。公共事業が大幅な変更で基本部分が中止に追い込まれた例として、私が本誌で2度、論じた中海干拓事業があります。もう一つの例は大戸川ダム(滋賀県)です。時を経るにしたがって水需要「要求」が減少し、環境問題などもあって中止になりました。しかし、地元の強い「中止反対」で、治水に目的を変更し、穴あきダムの着工を計画しています。ダムをやめて河川改修に計画変更した例が身近にあります。岩手県県営事業の津付ダムです。治水の穴あきダムが造られることになっていたのですが、紆余曲折を経て中止になり、河川改修で対応することになりました。農業農村工学会、日本水土総合研究所、北上川水系ダムでダム関係の委員をやっていて、いままで多くのダムを見てきましたが、穴あきダムは初めてなので、それを施工から見ることができると期待していました。個人的な関心としてダム建設の技術を見ることができずに残念です。     8.おわりにいささか無責任のようですが、論じだすと話が散漫になり、焦点の定まらない結果になり、申しわけありません。つたない論考?ですが、各位の考えるきっかけになれば幸いです。

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