東北コンクリート製品協会会報No.6 2017年3月15日発行
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― 29 ―産は長男で、次男坊のわたしは家を建てるところだけもらったんです。ホーマックへ行って小さな木をいっぱい買ってきて植えたんです。最初小さかったので問題なかったのですが、大きくなってきたらお互い邪魔し始めたんです。また掘り返して違うところに植えたんです。ほんとにバカだったんだなと思いました。みんなに長期的な展望を持てといっている割には何にも考えていなかったんです。同じ木ばかり買ったので秋になったら全部枯れて何もなくなったんです。だから、桜がよかったり、もみじが良かったりするんだなあ、四季のことも考えないで植えていたんだということがわかったんです。それから、実家から木をもらって植え替えたんですが、見事に枯れてしまいました。知り合いの植木屋さんに相談したら「佐々木先生、植えるにもタイミングがあるんですよ」って言われたんです。例えば、梅雨の時期の前に植えるのがいいとか、言われてぐさぐさ引っかかったんです。ということは、選手にも同じようなことをしているんじゃないかと思ったんです。長期のことを考えずに、季節があるのに、同じような木ばかり、打線にホームランバッターばかりいないかとか、カット打法で問題になりましたが、小さい子を入れたりしたのは、このせいだったんです。同じ木が枯れたら全部が無くなるようではだめで、打てない日もあるので、打てない日は誰が活躍するのか、今日4番の誰かが打たなかったから負けたんだわあ、これは高校野球では許されないんです。プロよりも難しいんです。80何勝40何敗では優勝できないんです。1回も負けてはいけないのでプロよりもプロでなければならないんです。なので、庭から学んで打線にいろんなものを入れなければだめなんだということに気づいたんです。それからお互い近くで邪魔していないかとか、タイミングは良いのか、植えてやったと思ているけど枯らしているのではないか、など考えるようになりました。それから、庭師の人が縁側でお茶を飲むということもやっとわかりました。近くで見ているとわからないんです。ちょっと離れたところからお茶を飲みながら全体を見渡すようなことが必要なんだなと思います。何かあったら野球につなげられないかな、教育に落とせることないかなということをいつも考えるようにしています。ノックも自分でやっていたんです。ノックこそ選手とのコミュニケーションだと思ってですね、ノックをしなくなったら指導者は終わりだなんて思ってたんです。でも、縁側でお茶を飲む感覚、これも大事だなと思いました。全部任せてもだめだと思います。たまにノックもしなければならないですし、たまに俯瞰して、俯瞰って高い所から見下ろして眺めることなんですが、コーチにノックを任せて高い所から見てみると、ノックしているとノックしている相手しか見てないんです。上から見てると、ノックしている相手はどうでもいいんです。それよりも、センターは何してるんだろうとか、ライトは何してるんだろうと初めて見えるようになったんです。こういうところでチームの差が出てくると思います。ノック受けている子は一所懸命やっているんです。ノックを受けていない子が何をしているのか、どういう意識でいるのか、全体を眺めるということは大事なんじゃないかなということで庭から学んだりしています。盆栽のことなんですが、わたし、銀杏の木が好きで、親父に銀杏が欲しいと言いましたら、知り合いの庭師に頼んで銀杏の木を持ってきてくれたんです。小さな植木鉢に入ったものを持ってきてくれたんです。親父にかみついたんですけど、こんな小さなものじゃなく庭に植える大きなものが欲しかったんだよと言ったんです。おまえばかじゃないのかって、器に入っているから小さいけど庭に植え替えたら大きくなるんだと言われてですね、ハッとしたんです。小さな器の中に選手を入れて育てたら小さくなるんだと思ったんです。例えば、160キロ、160キロ、160キロという器のなかに入れられるとどんどん大きくなるのかと、平成29年願い協調融和

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