東北コンクリート製品協会会報No.6 2017年3月15日発行
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― 9 ―平成29年願い共存共栄がある。データの分布にはいろいろな型があるが、ここではもっともポピュラーで、コンクリートの品質管理にも使われている正規分布(ガウス分布、図1)について見てみる。実際、正規分布に例えられることが多いが、正確に正規分布するものはなかなか存在しない。あくまでも近似させたものである。正規分布の典型例として、大学センター試験の前身、共通一次試験の合計点が挙げられる。30万、40万のサンプルがあるものだから正規分布をなし、見事なまでにガウス曲線と一致していた。ただ、正規分布関数の欠点?としてデータがない(範囲外)でも関数の値は微小であるが0にはならない。多くの場合、データの範囲は平均値mから±3σないし±4σの外側の関数値も面積も0と見なしている。それでも殆ど支障はない。5.コンクリートの品質管理コンクリートの品質管理といっても、ここでは管理図や計算法などの話をするのではなく、分布に関するごく基本的なことを述べることにする。コンクリートの品質管理では最も重要なものとして強度のデータが扱われる。もちろんこの場合、データの数が少なくても正規分布していると仮定して管理する。ここで大きな役割を果たすのが標準偏差σや変図1 正規分布図(ガウス曲線)図2 呼び強度、設計強度、不合格率動係vである。σが小さいほど、変動係数が小さいほど品質が揃い、よく管理されていること表している。図2から推定できるように、σ(及びv)が小さいほど割り増し係数が小さく、過大な強度(髙コスト)の配合設計をしなくて済む。σは、便利な尺度で管理限界や規格の制定にも役立っている。6.偏差値近年、偏差値という言葉が一人歩きして、人の選別を意味するように使われている場合が少なくない。また。入学試験のレベルやランキングに多用されることで、すっかりお馴染みになった。しかし、本来は相対的位置を表す教育統計用語で,個人の知能や学力や性格などについての検査結果が、集団の平均値よりもどれくらい上または下に偏っているかを、標準偏差を目盛りとして表すものである。 偏差値 y=10×(x i-m)/σ+50で計算され、概ね20~80に分布し、50が平均である。入試のレベルでいえば偏差値80(上位0.13%)は超難関校で、73あたりでも上位1%で、結構難関校といえる。筆者が偏差値なるもの知ったのは、勤めて間もないころ、中学生のときに受けた知能検査の結果をある教育者に話したときであった。普通の知能検査では知能指数100が年齢相応で、その前後の

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