東北コンクリート製品協会会報No.6 2017年3月15日発行
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― 8 ―1.はじめに1月2日のセメント新聞に、品質管理監査制度に関する筆者の拙文が全面特集記事として掲載されたことでもあり、この機会に監査制度だけではなく、品質管理について雑感を述べてみたい。今回も体系的な話ではなく、連想ゲームのようにランダムウォークになることを予めおことわりしておきます。2.新聞記事についてセメント新聞の記事は会員諸氏も、新聞本紙または協会事務局からメールで、大概読まれたことであり、内容はご理解いただいていると存じます。私事で恐縮ですが、記事の反響について2件触れます。私は年賀状の端に「1月2日のセメント新聞に小生のまとめたコンクリートの品質管理監査制度の特集が載ります。ご高覧ください」と予告宣伝をしました。早速、親戚の一人から「どんな記事なのかと思い、市の図書館へ行ったがセメント新聞はなかった。その新聞があれば送ってほしい」と電話がかかってきました。それを潮に互いの近況を話し合うことができました。高校、大学が同じで、大学では学部は違ったがサークルが同じあった友人から連絡があり、ある筋?から新聞のことを聞いたので、どんな内容か教えてほしいといわれ、長電話で品監制度についてレクチュア?をしました。「60年の知己なのに、藤居の専門と仕事を始めて知った」と言い、合わせて新聞またはそのコピーを送ってほしいという要望がありました。 後日、読後感を認めた葉書特別連続寄稿品 質 管 理 雑 感岩手大学名誉教授 藤 居 宏 一では、門外漢だけれども品監制度を褒め、業界への啓蒙になると記していました。彼は現役のときは大手の商社マンで、資材としてセメントを扱ったことがあり、前述の電話でもセメントに限らず品質がいかに大事であるかはよく認識していると話していました。3.品質管理品質管理の歴史は筆者が述べるまでもなく、日本では戦前に萌芽はみられるが、本格的には戦後、GHQの指導で通信機器業界に導入されたのが始まりとされている。その後、日本科学技術連盟、日本規格協会の活動やデミング博士らの指導もあり、各界に普及していった。現在はJISに規定され、コンクリート業界もそれにしたがって品質管理を行っている。なお、デミング博士を記念して、総合品質管理の進歩に功績のあった団体、個人を称えるデミング賞が設けられている。当協会の前田製管株式会社本社工場が1989年に同賞事業賞を受賞したことは名誉であり、コンクリート業界、建設業界の誇りでもある。4.正規分布品質管理の狙いを荒っぽくいえば、品質の向上と安定である。まず、製品の品質指標(計量・計測値)の平均値とバラツキを管理することである。統計学でいえば個々のデータをx i 、平均をx_ ,mあるいはμ、バラツキを分散σ2あるいは標準偏差σなどで表現することが多い。また、コンクリートの配合設計などにも用いられる変動係数σ/m 平成29年願い協調融和

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