東北コンクリート製品協会会報 No.5 2016年9月15日発行
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― 3 ―平成28年願い共存共栄の部分ができれば大まかな体の形ができる。網で濾したモルタルを体に盛り加えながら細かい顔や衣服等の造形を施していく。とくになめらかさを出したい箇所にはセメントペーストを塗り、水を含ませた刷毛で整形する。最後にペンキで着色して完成である。この着色が祥雲像の大きな特徴である。このように、表層部にはモルタルを用いるのだが、この配合ははっきりしない。また、補修(後述)で使用したモルタルもよくわからない。その場で、状況・条件を考えながら適当(いい加減という意味でなく)に練ったのではなかろうか。余談になるが、筆者が現職の時の学生のコンクリート実験の最終課程で、何でもいいから、コンクリート、モルタルによる製品・作品のコンテストを行っていた。(本誌旧号) あるグループが番線を芯にしてむちゃくちゃモルタルを塗り込んで人形らしき物を作ったのを思い出した。7.補修についてコンクリートであるからにはいずれ劣化する。また、ペンキによる着色・コーティングも退色する。とくに野外にあるものを長期存続させるには補修が不可欠である。祥雲の像もいくつか補修プロジェクトによる修復運動が行われている。補修の方法は剥落部分を高圧洗浄し、下地剤を塗り、モルタルやペーストで形を復元して、乾燥後ペンキを塗る手順で行われる。さらに、指、手首や錫杖など欠損した部分は新しく作って復元する。8.おわりにわれわれが対象にしているコンクリート製品は工場から同一規格で作られるものであるのに対し、ここで述べたコンクリート“製品”は一つ一つが手作りである。魂をこめてよりよいものを作ろうとする精神は学び取りたいものである。〔参考文献〕大竹敏之著 コンクリート魂 浅野 祥雲大全 発行:青月社

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