東北コンクリート製品協会会報 No.4 2016年3月15日発行
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― 26 ―たします。これを実施しましたのは前の全コン東北支部の時でして現在は東北コンクリート製品協会技術委員会になっています。実施時期は平成25年3月から12月までで発災からは2年が経過しておりました。津波被害の大きかった岩手、宮城、福島の海岸地域を中心に調査を行っております。震災によりまして被害を受けた場合でも損害を受けた一部分のみの交換という箇所が見受けられ、いち早く現況復旧ができるという側面もプレキャスト製品の特長ではないかと思っています。調査箇所を示します。岩手県、大槌町、釜石市、陸前高田市それから宮城県、気仙沼市、南三陸町、女川町、仙台市は擁壁の地盤が動いた部分、市内の調査です。そして山元町、福島県は沿岸地域、いわき市も一部調査対象としております。調査内容としましては、場所、どういう製品なのか、何に使われたのか、現況はどうなのか、復旧されているのか、さらにメーカー、規格、製品名などもわかる範囲で調査しております。フォーマットを作りまして、それぞれ写真を添付しながら、手分けして調査を行っています。その中からいくつかの事例を紹介いたします。宮城の南三陸、防災対策庁舎の付近です。津波に住宅はすべてもっていかれまして宅地だけが存在しています。擁壁の例です。漂流物が衝突したと思われる欠損や一部ひび割れが入ったりしておりますが、全部壊れたといった大きな被害はここでは見られませんでした。南三陸の海岸から近いところの宅地です。津波で運ばれた堆積物で側溝はほとんど埋まっております。蓋版も一部はがされ土砂が流れ込んでいます。こちらは、側溝として機能しておりまして、奥の方は古い蓋版で白い方は新しくかけかえられた蓋版です。側溝本体は健全で埋設物を撤去して蓋をかけて復旧された状況になっておりまして、雨水を排水する側溝としての機能は回復されておりました。プレキャストではありませんが鉄道の橋げただけが残っておりまして、盛土と線路は津波で全部流失しておりました。南三陸の鉄道橋で清水浜駅です。気仙沼、現在は撤去されている大型船舶が乗り上げたところです。プレキャスト擁壁の上は歩道でインターロッキングブロックです。向かい側は仮設のコンビニもありましてインターロッキングブロックや側溝は復旧されて機能を回復しているという場所でした。気仙沼の国道45号線の補強土工法、垂直壁ですね。地震の影響は見られず7mほどの擁壁ですが健全な状態が保たれておりました。女川ですが、コンクリートパイルのフーチング部分で接合部から流され転倒した建物です。PC杭のφ300A種ではないかと思いますが、ぶら下がった状態で1本だけ残っておりました。岩手県、陸前高田市です。擁壁ですが、背面の盛土が津波で流失しておりまして漂流物による欠損が出ている状態です。プレキャストは肉厚でありませんのでひび割れは貫通ひび割れになってしまいます。しかしながら、これも接合部をはずせば討論会前田製管株式会社 執行役員技術開発本部長 金子  修 氏東栄コンクリート工業株式会社 技術開発部部長 小浦 哲義 氏平成28年願い協調融和

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