山形のシシ踊りガイドブック―楽しく見るための手引書―
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41「シシ踊り」と「獅子舞」のちがい シシ踊りの「シシ」とは、日本に生息する猪(イノシシ)・鹿(カノシシ)・かもしか(アオシシ)などの野生動物を意味します。それらの動物をモデルにしたカシラを一人で被って、体をおおう幕の中で太鼓を鳴らしながら踊るのがシシ踊りの基本形です。シシ踊りは本来東日本にのみ分布する芸能ですが、江戸時代に愛媛県や福井県に伝播した特殊例もみられます。 一方「獅子舞」という芸能もありますが、シシ踊りとは本来異なり日本には生息しない百獣の王であるライオンがモデルになっています。発祥は中国であり東アジアに伝播して現在も広く分布しています。日本に獅子舞が伝来したのは飛鳥時代の612年 です。2 東北と関東のシシ踊りのちがい 東北地方では、シシ踊りは死者の鎮魂や先祖供養のために踊られてきました。特にお盆の鎮魂供養として、青森県・岩手県・秋田県では墓地や遺影の前で演じるシシ踊りが現在も多くみられます。またシシの頭数は五頭・七頭・八頭を一組とする踊りが多いです。一方、関東地方では、シシ踊りの目的は悪魔払いや雨乞いあるいは疫病払いなどのために踊られてきました。供養の目的は北関東の一部を除きまったくみられません。また頭数も三頭を一組とする踊りがほとんどです。3 山形県内のシシ踊りの特徴⑴ 村山地区 村山地区のシシ踊りは、江戸時代から旧暦七月七日に死霊の山である立石寺山寺で死者の供養踊りを行なう慣習をもっていました。この慣習は今なお一部継承されています。共通点はシシ七頭が多く、カシラは鼻が突き出ているイノシシ型です。シシ踊りは雌シシ一頭が基本ですが、これらの山寺系シシ踊りにはなぜか雌シシ二頭が存在する団体が多く、きわめて異例です。また、シシは立石寺から授かった斧を背負っていることも大きな特徴です。⑵ 最上地区 最上地区は二団体存在しますが、芸態はシシ踊りとは何か東北地方のシシ踊り文化圏概念図①津軽圏②岩手幕踊り系シシ踊り圏仙台鹿踊り圏⑧山形置賜・   福島  シシ踊り圏③佐竹系ささら圏⑦庄内圏⑨会津圏⑥⑤山寺系 シシ踊り圏③太鼓踊系鹿踊り (八ツ鹿踊り圏)太鼓踊系鹿踊り (八ツ鹿踊り圏)菊地和博『シシ踊り』より引用

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