さくら物語19号
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白鷹町地域おこし協力隊 石井 紀子 白鷹町には樹齢500年以上の「古典桜」と呼ばれる桜が7本あり、自然遺産としてまた観光資源として大いに活躍しています。この桜の維持管理と伝承の大切さを伝えるために古典桜を主題にした紙芝居『桜と守り人』を制作したところ、『さくら物語』に「地域おこしの視点から見た紙芝居づくり」というテーマで寄稿する機会をいただきました。筆者自身「地域おこし」とは何か試行錯誤を繰り返す身ではありますが、本紙芝居の制作で着目した、大人と中学生の交流と紙芝居の活用について記してみたいと思います。 まず、紙芝居の制作には地元の高齢者2名、若者2名、最上川フォーラム事務局1名に加え、町立白鷹中学校の学生6名を交えた計11名が携わり、物語の構成とイラストは全て中学生が手がけました。ストーリーを作る際には中学生と桜の管理者が交流することをねらい、金田聖夫さん(日本さくらの会)のインタビューを行いました。 インタビューでは、桜が自分の力で生きていけるよう弱っている部分に手を貸すことや、雑草が栄養分を横取りしないように予防するなどの維持管理の考え方を 教えて頂いたことに加え、枝に登って遊んだ思い出も語られ、今では見られなくなった薬師桜と人の交流を知る ことができました。中学生は紙芝居の中に金田さんの体験談を取り入れ、主人公の「ぼく」が薬師桜に話しかけて 調子をうかがう場面や、「ぼく」と桜の妖精が木に登っておしゃべりする場面として表現しました。インタビューを行って 中学生が桜をより身近に感じ、桜と人のつながりを表したいと考えたのでしょう。 次に、地域おこしには、興味をそそられるような情報発信が欠かせないと考えています。 今回のように、町の将来を担う中学生が紙芝居を制作したという話題性や、幅広い年代層が 理解できる内容(本紙芝居の対象年齢は小学校低学年)とし、桜の紙芝居に興味を持ちや すくしています。これらの強みを活かしながら、今後何度も人前で上演した結果、よう やく紙芝居が「地域おこし」に役立つアイテムに なるのではないでしょうか。ただし、数多く上演 するためには読み手を確保する必要があり、現在この点が手薄になっています。今後は読み手の育成を考えながら、桜の開花に合わせて紙芝居を上演できるよう準備を整えていきたいです。 平成15年度より行っている、桜の植樹、維持管理活動の支援に加え、27年度からスタートした樹木医による相談事業の一環として、地域で桜を見守り、維持管理を行う「桜守」の養成講座を行っています。 28年度は、2市町村他団体等へ、桜と周辺の既存樹木の調査、診断と、土壌改良や維持管理についてアドバイスしました。 「桜守」養成講座は、28年度から認定証を発行。継続受講によるスキルアップと、県内での情報交換や次世代につながる人材の育成、ネットワークづくりを目指しています。 桜守養成講座 金山町他3市町村で開催 日本で最も愛されている桜の歴史や、手入れの方法等を学ぶ座学と、 実際に木を見ながらの実地研修を行います。 28名に基礎講座終了証が発行されました。 地域で研修会を行いたい、 研修会に参加してみたい、 という方はフォーラムまで お問い合わせください。 |美しい山形・最上川フォーラム|09

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