さくら物語19号
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東北・夢の桜街道推進協議会 会長 細野助博 2011年3月11日午後に東日本を大地震が襲い、津波が発生しました。そして三陸の海沿いのまちが濁流に飲み込まれ、福島の原子力発電所が津波の影響でメルトダウンを起こしました。自然災害の爪痕はまだ完全には消えていません。いや現在でも私たち日本人の心を苛み、生活不安を起こし、誇りを傷つけています。いつまでも消えない「風評」被害は避難者を追いかけ、陰湿ないじめの原因にもなっています。しかし日本中を不安に陥れた震災や原発事故から、早く自由になりたいと多くの人は無関係を装い「風化」させようともがきます。オホーツク海気団より吹く冷たく湿った北東風「やませ」のように、冷たく湿った二つの風です。 6年たっても、まだまだ吹き止みません。 でも皆さんご存知のように、日本では美しい花々とともに季節が移り変わってゆきます。春の桜、夏の紫陽花、秋の秋桜、冬の山茶花。そしてその花々を取り巻く新緑、深緑、紅葉をつけた樹木と川のせせらぎ、そして落ち葉と雪。みなそれぞれの季節に彩りを添えます。そうする季節が廻り巡って行く先で、その二つの冷たい風もやがてどこかに消え去ってゆくに違いありません。つらい時の流れをなるべく早く終わらせ、希望の明日をなるべく早く迎える準備を東北の人々とともに整えたい。これが東日本大震災の起こった2ヵ月後に美しい多摩川フォーラムと美しい山形・最上川フォーラムの間で整えられた仕組みを母体に、発展的に結成された「東北・夢の桜街道推進協議会」の思いであり、目標なのです。 この未曽有の大震災は直接被害を受けた地域だけでなく、東北全体に被害をもたらしたといっても過言ではありません。人口減少はむしろ青森、秋田そして山形の地域でも加速化しているのですから。でも、この人口減のスパイラルを一刻も早く断ち切らなければ、手遅れになります。東北の四季のすばらしさ、山海の自然の恵みと豊富な温泉、温かな人情と伝統芸能が時代を超えて温存される風土。これらが地域の復興・再生にうまく活かされているとは言えません。何故でしょうか。一つはこれらすばらしい地域資源の数々が、東北に生活する皆さんの「日常性に埋没」し、その潜在価値に気づき、掘り起こすことのきっかけを自力で見出せずにいるからです。 そこで、「東北・夢の桜街道」の岡目八目に期待してみてください。協議会では108か所の 「桜の札所」を指定し、ツアールートに組み込み、スマホアプリで情報提供することで、気づきの きっかけづくりのお手伝いをしています。また、東北のすばらしい天然資源と風土が醸し出す テロワールに育まれた色々な土地の美酒が競い合い創り出すネットワークが「東北酒蔵街道」を 形成するお手伝いもしています。また、桜をテーマにした瀬戸内寂聴の妖艶な世界で各地の舞台を 飾る、語り部・平野啓子氏(美しい多摩川フォーラム副会長)の「桜の語り会」も見逃せません。 そして特筆すべきは、全国264信用金庫のネットワークがこの協議会の支援に回ってくださって いることです。東北地域の復興、再生はもちろん地域の人たちが主役です。そして私たち協議 会はわき役として皆さんを支えたいのです。皆さんはけっして孤独の淵に佇んでいるわけでは ありません。希望の明日に向かってこれから一歩も二歩も踏み出してください。 震災から丸6年を迎えるにあたって 東日本大震災復興支援プロジェクト~東北・夢の桜街道~ 私たちの身近にある川や水辺の環境を知り、一人一人がアクションを起こすために、フォーラムでは県民の皆様と環境に関する活動を行っています。小さな一歩が、明日の美しい山形を作ります。 開催情報はフォーラムホームページなどでお知らせしています。 もがみがわ水環境発表会 身近な川や水辺の健康診断 美しいやまがた クリーンアップ・キャンペーン スポGOMI大会 |美しい山形・最上川フォーラム|10

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