建築士山形 2017 No.97 architect of yamagata
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点がありましたが出展作品はいずれも力作ばかりであります。 特に最優秀賞の「エッフェル塔」は曲線と直線の組み合わせであり、それを忠実に再現する技術は素晴らしいものがありますし、着色まで出来ていることでより実物に近い雰囲気が出ています。 優秀賞の「木造住宅」は、木造住宅を理解しやすいように構造体が見えるように工夫が施されていて、素人にもわかりやすい模型に仕上がっています。実際に住宅設計をした時にはそのまま住宅会社でも使えそうなレベルに仕上がっているような作品です。同じく優秀賞の「平等院鳳凰堂」は木造の寺院建築。かなり難易度の高いものに果敢に挑戦したことは素晴らしいと思いますし、作ったみなさんの可能性を感じる作品です。 今回のコンクールの中で惜しくも入賞できなかった中にも、多くの秀逸な作品があり、本当に高校生とは思えないレベルの高さを感じました。この事が山形県全体の建築技術のレベルを押し上げる力になることを確信できる審査会でありました。この高校生たちには大きな夢を持ちながら、さらに大きく成長し、いつか山形の日本の、そして世界の建築をつくりあげていってくれることを望んでやみません。審査風景ム、大規模木造の校舎、高齢化社会を反映した施設や保育園等々、社会や地域の問題点を的確にとらえたうえで夢や理想を求めたもの、今すぐにでも建ってしまいそうな実現性高いものなど本当に多岐にわたる作品が多かったと思います。それだけに審査基準や評価も難しく、大いに楽しみながらの審査となりました。 特に最優秀賞をとった「鶴岡工業高校改築計画」はさすがに母校の設計という事で質実剛健、誠実勤労といった校訓、校風といったものを設計の根幹に置きながら協働的・総合的な木造校舎をつくるというコンセプトを見事に計画していると言えるようです。木造のメリット、デメリットを考慮しながら理想を具現化していく意気込みを強く感じる事の出来る作品で、しっかりと作り上げた模型写真も説得力があり多くの審査員を唸らせるものでありました。 激戦であるがゆえに優秀賞は3点となりました。一つ目の「ぬくもり」は、寂しい高齢者をなくすとともに介護する側にも配慮し、介護する側される側両方の幸せを願う設計姿勢に共感を得るものです。2つめの「idea-Lスタジアム」は2020年の東京オリンピックを意識しながら、山形にもシンボルとなる理想のスタジアムが欲しいという壮大な計画が審査員を楽しませてくれます。3つ目の「山形保育園」は、その独創的なファサードと平面プランに驚かされます。子供たちの目線はもちろんのこと、子育てをする側の目線も考慮しながら未来の日本をつくる人材が育っていくことを想像させます。模型部門では⒈ 独創性があるか(夢・希望)⒉ デザインと芸術性⒊ 模型の表現能力 の3項目をそれぞれ採点し合計得点の高いものを表彰対象にした。 模型の製作には、果敢に一人で挑んだものや大勢の人の手で細部まで作り上げたものまであり、採点の基準はとても難しいPage35TitleNameNumberICHIMURA kiyokatsu建築設計・デザインコンクール2/2

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