建築士山形 2017 No.97 architect of yamagata
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 20年間ほど一緒に、建築に関する勉強会や見学会を続けて来た仲間で、今年初めて一般市民を対象とした9回の講座を持つ機会がありました。 それは一カ月に一回90分で、その内私は2回担当しました。自分が担当して取り上げる題材については、一ヵ月前から準備とプレッシャーの日々。でも勉強を始めると、知らなかったことを少しだけ深く知っていく楽しさにすぐに引き込まれました。 以前より私は「建築史」をちゃんと教わってみたかったなと思い始めていました。私は全く独学の建築士なので、今日一個今日一個と知識や経験を「点」で積むことで「建築」を覚えて来ました。 鶴岡市泉町齋藤與吉建築設計事務所卒業(!)で、所長はじめ先輩後輩に沢山の「点」を教わりました。それゆえ、建築史を彩る建築士や様式にはどのような関連、「繋がり」があるのかに興味を持ったのだと思います。 さて、私に廻って来たのは、「建築の美」探訪と題した9回講座の第8講、「大屋根の美」~大屋根を支える工夫・丹下健三の国立代々木競技場でした。準備する中で近代建築の三大巨匠にはじまり1960年代の丹下健三を中心とした建築と「世界の丹下」交友録を知ることが出来ました。 丹下健三は戦後のモダニズムデザインをリードした卓越した建築家、デザイン力だけでない材料・技術にこだわるものづくりをし、多くの建築家を育てた教育者、建築家の地位向上を願う職能運動家、といくつもの顔を持つ多面体建築家でした。自分でスケッチを書いても初めからその通りに進めるように指示することはなく、自分は無色透明になることに努め相手の長所を引き出そうとする教育者だったというところにも、とても惹かれました。 講座の準備はまず本を読み、関連を調べ、伝え方を工夫して全体を組み立てる。加えて伝えるための練習をする。この「準備・工夫・練習」は今年3月急逝なさった尊敬する小山浩正山形大学教授がHP「プレゼンテーションの理論」の中で発表の大原則として教えてくださっています。 来年も知ることのわくわく感を味わいたいと思っています。秋野公子 AKINO kimiko From鶴岡田川支部知る楽しさ。Page13TitleNameNumber会員だより3/11AKINO kimiko

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