建築士山形 2016 No.96 architect of yamagata
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審査風景文翔館をそのまま取り込ながら増築工事で北側に巨大なオペラハウスを併設する案です。ほとんどの方が考えない大胆な発想であり、これは県民の夢なのかもしれません。外観はガラス貼りで、大正ロマンの文翔館と、超近代ガラスの箱との不思議なマッチングは若い世代の柔軟な発想の賜物です。第2位と3位は僅差であり、1点差の勝負でありました。優秀賞の「小さな頃から温暖化対策~環境を学ぶECOな小学校~」は太陽パネルを駆使して省エネを計ると共に、屋上に貯水池を設け、夏の打ち水効果、冬の融雪効果を考えています。同時に雪を体育館の床下に取り込み夏場の冷房に使用する等、まさにエコに取り組んだ作品といえます。 同じく優秀賞の「新・国会議事堂」は現代の世相、18歳からの選挙権をテーマにした作品です。低層階の個室群のうえに伸びた巨大な曲面アーチ柱に支えられた球形の本会議場は圧巻でした。ほとんどの生徒がCADを駆使して図面を書く時代に入ってきたわけですから、図面の表現力においては差がなくなりつつあります。特に今回は曲線を使用した作品が多く有りました。従いまして独創性、芸術性において貪欲な追及がさらに必要になると思われます。 模型部門に8点の応募があり、レベルがさらに向上してきております。特に最優秀賞の東大寺 大仏殿は細部迄きちんと造られており、プロの作品に近いレベルに達していると思われます。優秀賞の大宝館は中央の円形部分の屋根を巧みに処理しており見事です。鶴岡市役所のロビーに展示されたら良いのではないでしょうか。もう1点の優秀賞「富岡製糸場 繰糸場」は1部に小屋組の表現があり、細部迄検討された跡があり、研究の成果が表れておりました。 この他にも県立病院、城、住居等、結構レベルの高い作品が多くあり、先生方の熱心な指導に感謝を致します。 このコンクールが山形県だけで終わってしまうのは、もったいないような気がいたします。是非「建築甲子園」のような全国大会があるべきだと思います。 今後、進学や仕事にと社会に巣立っていく、夢多い学生諸君にとっては、この経験が必ずや未来に大きなエネルギーとなることを確信し、今後の活躍をお祈りいたします。Page33TitleNameNumber建築設計・デザインコンクールイベント報告2/2

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