建築士山形 2016 No.96 architect of yamagata
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議員も出席した国土交通省の国土審議会第3回豪雪地帯対策分科会で舟山委員が高床式住宅で床下部分がある高さ(1.5m超)から1階とみなされ3階建になり税金が高くなって困っていることなどを質問したのに対して、住宅局の担当者(建築指導課長)は「床下部分の高さは、1.8mを超えないようにと位置づけているが、建築主事が特に必要と認めた場合は、その主事が認めた高さということで、かなり柔軟な対応が出来ていると考えている」と答弁している。各委員から克雪住宅、高床式住宅についてより一層推進することが必要との意見があった。 西置賜郡では、道路面から1.2m位の高さに盛土を行い、平成21年1月1日から施行した高床式住宅の取扱いの基準で着工しその後、道路に面する部分に車を置くための地下室を造るようなことが起こっていて、この様なことを無くすためにも、速やかに改善すべきではないかと思われる。   また、平成12年4月に施行された地方分権一括法により地方自治の自主的・自律的行政が求められている昨今、国も弾力的な運用を期待しているのに、国の通達(現在は強制力のない技術的助言になっている)のみで県の建築行政を行うことは、止めにして、山形県独自の最善な高床式住宅の運用基準の作成を期待するものである。平成6年に策定された山形県雪対策基本計画は平成24年10月に第3次改訂されたがこの中に先人の活躍により本県は、「雪対策施策発祥の地」として全国的な評価を受けていると書かれているが、高床式住宅の床下部分の高さを、2.0mまで階数に算入しないなどの改正を今回、行えば山形県の建築行政は、初めて「住宅の雪対策施策の先進県」となるであろう。       参考文献 ■ 小松 忠治 著 「松岡 俊三」 ■ 「国会審議会第三回豪雪地帯対策分科会」議事録 ■ 「基準総則 集団規定の適用事例」 ■ 「富山県建築基準関係規定運用集」 ■ 「新潟県特別豪雪地帯の高床式住宅の特例基準」 ■ 山形県雪対策基本計画第三次改訂」には不要と思うこの小屋裏物置等の取扱い基準が適用された平成21年1月1日以降に特別豪雪地帯において住宅を新築または改築し、意味のない構造計算の費用と算入しなくてもいい床面積や階数を算入され、固定資産税、不動産取得税、各種住宅税制において不利益を被っている人が多数いると思う。 そもそも、高床式住宅の通達では、床下部分には、収納設備を有しないことになっていが、小屋裏物置等の基準に該当するとして、収納専用に使用する地下室の床下物置等と、高床式住宅の収納設備のない空間の床下部分と同じと考えるのは、浅薄である。  新潟県、富山県などの他県の高床式住宅の特例基準は、床面から根太を受ける大引下端または梁の下端までの高さが1.8m以下としている。また、新潟県では、ただし書きにより、新潟県建築基準法施行細則第14条第3項の規定にある垂直積雪量で、小千谷市などは3mまで、旧入広瀬村などは、4mまで高さを認めることになっている。4mまで認められても、実態は、軒の高さを9m以下にすることから、高さは2.5m位までであろう。特に、富山県の特例基準では、階数の算定で、床下部分の高さが1.8m以下の場合は、特別豪雪地帯の特例で、階として算入しなくてもよいことになっていて、また、小屋裏物置等の取扱いは、高床式住宅の特例の取扱いとは、別に設けている。先人の努力により、特別豪雪地帯で高床式住宅の特例基準が設けられるようになったものであり、床下部分をなるべく余剰空間を有効利用するために根太を受ける大引下端またはネダノンの合板を受ける梁下端から算出するようにすべきである。そして行政側で高床式住宅のモデル設計を行い、例えば、基礎の鉄筋コンクリート造の壁厚を15㎝とし、鉄筋は主筋D13、補強筋D10-@200とし、コンクリートの強度は21N/mm2で、基礎の高さ(地盤面から基礎天端まで)を2.0m以下、フーチングの幅は1mとし、シャッターなどの開口部を設ける基礎部分には、スパンは2.5m以下で門型に200W×200Hの梁と両側に200W×200Lの柱(配筋は主筋が4-D13、肋筋・帯筋がD10-@150)を入れて補強し、山形県建築基準法施行細則第16条の2第3項の規定により、特別豪雪地帯の区域の垂直積雪量は、2.0m以上に定められているので、新潟県の特例基準に習い、床下部分の高さ(床面から大引下端またはネダノンの合板を受ける梁下端まで)を2.0mとして、この条件で構造計算を行い、安全が確認出来れば、床下部分は床面積に算入しないことは勿論のこと、階数に算入しないようにすれば、これでもって木造2階建ての高床式住宅になり、いわゆる4号建築物になることから、構造計算が不要となり、都市計画区域外または4号区域以外の地域では建築確認申請も不要となるが、改正する特例基準には前記の例示仕様を明記する必要がある。 平成24年1月25日に開催された岸参議院議員と舟山参議院Page25TitleNameNumber寄稿3/3WATANABE michiaki

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