建築士山形 2015 No.95 architect of yamagata
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東北電力の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は約12%(平成25年度実績)で電力各社の中でも高い水準にあるそうです。今回はそれらの関連施設である地下の熱水を利用する柳津西山地熱発電所(認可出力65000KW)と只見川から沼沢湖へ有効落差214mの揚水式水力発電の第二沼沢発電所(認可最大出力46万KW)を視察しました。 次に関連で見学した、クリーンルームを活用した新規ビジネス展開の「腎臓病患者に食の喜びと先端技術で農業イメージを一新…」という事業(野菜工場)の富士通セミコンダクター(株)「会津若松Akisaiやさい工場」を紹介します。 腎臓に障害があると、尿にカリウムを排出することが困難になり体内に蓄積され、高カリウム血症を招き、不整脈や血圧の低下などの症状を引き起こす場合があるそうです。国内では透析患者30万人、慢性腎臓病患者は1300万人以上といわれています。このような方々に朗報のこの施設は、全クリーンルーム8000m2のうち2000m2を使用し、栽培面積1400m2、設備台数450台、収穫数3500株/日の規模で、低カリウム・無洗浄など高付加価値野菜の栽培技術を確立し、半導体製造技術を活用して、品質管理・コスト削減手法などを農業に適用したものです。 生産されるレタスのブランド名は「キレイヤサイ」で低カリウムレタス(カリウム含有量が1/8~1/10)で洗わないで食べられる。(当然無農薬)2週間以上も長持ちする。(雑菌がきわめて少なく、腐食の進行が遅い)硝酸態窒素の含有量が少なく、苦味・えぐみを抑えてシャキシャキとして食感が良く美味しい…。など、実際に試食させていただき、それを実感しました。主な販路としては病院・透析施設の売店、医療・健康食品・弁当のネット通販、業務系では温泉旅館(食事・お土産)ホテル、シェフレストラン、スーパー、学校給食など⇒「美味しさ・安心・安全・安定供給」だそうです。(残念ながら山形県にはまだ出荷されていません。東北エリアでは福島県のみ) 昨年は鶴岡エネルギー懇談会について紹介しましたが、マスコミ等で報道される機会が多い、私達の身近な関心ごとである最近の電力状況等、今回も当懇談会主催の視察研修会の際に東北電力さんから提供された資料を基に、標記への取組みについて概略を紹介したいと思います。 国策の平成14年6月にRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)が公布されて以来、平成24年7月に再生可能エネルギーの普及を目的とした固定価格買取制度(FIT)が開始されて、国の設備認定を受けた太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電設備の導入が加速されています。また一方で、需要に対して過剰な発電量が生じ、(平成21年11月1日・太陽光発電の余剰電力買取り制度がスタート)買取り受付が制限されるなど最近になって課題も出てきて、国の機関で制度の見直しが検討されている現状です。ちなみに東北電力企業グループの取組みは、水力・太陽光・風力・地熱と多種にわたっていますが、地熱発電に関しては全国合計52万KWのうち、その48%にあたる約25万KW(平成25年度実績)であり、国内最大規模(松川・葛根田・上の岱・澄川・柳津西山の5ヶ所で6基)の発電設備を有するとのことです。風力は全国267万KWに対して企業グループ全体で約23%にあたる約62万KW、太陽光発電では仙台・八戸メガソーラーに加え、東北電力(株)・(株)ユアテック共同出資の久慈・鰺ヶ沢・白石の3ヶ所で約3000KW。その他、現在建設中の原町・石巻蛇田の2ヶ所で1300KW。(平成32年度までには企業グループ全体で1万KWが予定目標)その他にも原町火力発電所に木質バイオマス燃料の導入(能代火力発電所では平成24年4月から石炭との混焼を開始)や気象条件で出力が変動する風力発電や太陽光発電の普及拡大に伴う周波数変動対策の新たな施策として、最適な制御と管理技術の開発・確立するため、変電所における大型蓄電池システムの実証事業を展開中だそうです。(平成27年2月工事完了後3年間実証試験)斎藤留吉 SAITOU ryuukichi鶴岡田川支部長「再生可能エネルギーの今とこれから」と「野菜工場」の紹介。鶴岡田川支部From東北電力・柳津西山地熱発電所にて富士通・野菜工場内部の様子富士通・会津若松工場ロビーにてPage04TitleNameNumber支部だより3/9SAITOU ryuukichi
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