建築士山形 2015 No.95 architect of yamagata
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平成25年5月10日に出雲大社は遷宮を迎えている。平成26年5月、出雲大社の代々宮司を務める千家国麿氏が、皇族の高円宮二女典子様と婚約され、10月5日出雲大社でめでたく結婚式を挙げられた。皆様も記憶にあるだろう。言わずもがな出雲大社は縁結びの神様で有名なのでこれから観光客が大勢おしよせるに違いない。 さて、出雲大社に諸君はどれ位知識があるだろうか。古事記によると国作りを進めた大国主大神が天照大御神のもとめに応じて国土を譲る条件として柱を太く立て大空に千木を高くそびえさせた神殿を求めたという。大社の社伝によると最古の社殿の高さはなんとかつては96Mあったという。平成12年、境内で巨大な3本1組の柱根が発掘された。平安時代の図面が残っており見つかった柱根とは比較するとその図面通りだったそうだ。 さて、遷宮とはご存知かな。神社を建て替えの際に御神体を仮の場所にうつし元の場所に返すことをいう。出雲大社の遷宮は転倒、仮殿造営、巨大神殿の正殿造営のサイクルで行われた。現在の高さは24Mである。48Mを半分になったのは江戸時代寛文7年(1667年)である。その頃から堀立柱から礎石を置いてその上に柱を立てる様式にしたら柱も傷まず倒壊もぐんと減ってきたらしい。 式年とは建て替えの周期をいう。ちなみに出雲は60年であるが伊勢は20年である。出雲の場合遷宮の間隔が必ずしも一定ではないことは古代は高層だったので余りに高すぎて転倒してその度毎に造営されていた。しかし木材、資材を調達し多大の財源に大変な苦労があったに違いない。また、出雲の遷宮の内容については、屋根の桧皮葺を新しく葺き替えるものの建物そのものは建て替えない。本殿の屋根の面積は約180坪である。桧皮の長さは一般に約75CMだが出雲では特別に105CMと120CMの長いものを使っている。これは屋根の寿命を延ばすための工夫かもしれない。屋根の下地は縦板2段、横板1段の野地板が三重に張られていてこんな仕様は他ではあまり見られない。 また、出雲の拝殿の巨大なしめなわが目に入る。そのしめなわはなんと太さ3M、長さ8M、重さ1500Kgだそうだ。 また、遷宮について書くと、全国各地で行われている。塩釜神社、香取神宮、賀茂御祖神社、住吉大社等が知られている。会田征彦 AITA yukihiko From山形支部出雲大社のこと。Page23TitleNameNumber会員だより8/9AITA yukihiko
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