建築士山形 2015 No.95 architect of yamagata
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視察行程は郡山駅を出発し浪江町周辺の復興状況視察、福島第一原子力発電所構内の状態を視察、大熊町周辺の除染状況視察、復興作業の拠点として使われているJビレッジでの昼食と双葉支部との意見交換会、富岡町の富岡駅周辺の津波被害状況視察を行い郡山駅に戻るという日程で、Jビレッジ以外は全てバス車中からの視察でありましたが1日の行程としてはかなりハードな日程となりました。 視察場所となった双葉郡内の復興状況は、震災後3年半が経過しているとは思えないほど被災当時の姿をそのまんまに残されており、家屋は傾き、崩れた屋根や壁はそのまま放置され手付かずの状態、田んぼには津波で流された車や漁船・瓦礫が未だに残されたままの場所もあちらこちらに見られました。ただ背の高い雑草が生い茂り被災の一部を隠す姿だけが時間の経過を物語っている様子でした。 復興がこれまで進んでいない理由は、ご存じのとおり原発事故による放射能汚染の影響により今なお「帰還困難区域」として住民や土地家屋の持ち主でさえ出入りが制限されている状況だからです。移動途中の車窓からの眺めは、国道沿いの店舗や町中の住宅に人々の生活する人影は無く、除染や復興作業の為に働く車輌だけが数多く行き交い、遠くに見える田んぼでも除染作業をしている重機が忙しく稼働しているのが見えていました。 双葉支部の方の話では、この辺の町は既に除染作業も終わり空間放射線量も下がっているので現在ではマスク無しでいられる状況になっているということでした。Page17TitleNameNumber会員だよりNAGASAWA yuji4/9
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