建築士山形 architect of yamagata 2014 No.94
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 平成12年に開催された第43回「鳥取大会」に参加した時は、雑魚寝の寝台特急で米子に向かい、睡眠不足のまま大会に臨んだことを思い出します。もう二度と寝台車には乗るまいと思っていましたが、この度の第56回「しまね大会」は「サンライズ出雲」という完全個室の寝台特急で、快適に米子へ向かうことが出来ました。 米子到着後、はじめに向かったのは遅い朝食を取るため境港です。豊富な日本海の海の幸が並ぶ漁師食堂で、絶品の海鮮丼と焼きイカをいただきました。その後13年ぶりに境港市内の「水木しげるロード」を訪ね、多くの見慣れた妖怪と初めて見る多くの妖怪に驚き、さらにロードの長さと観光客の入りが大きく伸びていることに感心しました。「ゲゲゲの女房」の影響があったにせよ、水木しげるさんを活かした境港市の活性化策は、更に輝きを増して「まちづくり」に反映されているのは間違いないと感じました。 境港を後にし、中海に浮かぶ大根島を経由して大会会場のくにびきメッセに向かい、貴島孝雄氏(元マツダのスポーツカー開発担当主査)の記念講演に耳を傾けました。貴島氏の職人とも思える「ロードスター」への一途なこだわりと良い物の追求は、ものづくりをする私たち建築士が忘れてはならない、大いに学ばなければならないことと思われました。 私にとって思い出をたどる旅は、境港・玉造温泉及び出雲大社ですが、思い残した旅として訪ねる地が二つありました。一つ目は安来市にある足立美術館です。枯山水の日本庭園と横山大観の作品を多数常設展示する美術館です。枯山水の庭は美術館の敷地のみを庭と見立てたつくりではなく、隣家の住民が自分の土地を借景として整備し協力しているなど、地域が一体となって美術館を盛り上げ、安来の「まちづくり」を進めているように感じられました。最高のロケーションを望む喫茶室での1杯¥1,000のコーヒーは、味が¥500一幅の絵画の様な庭園鑑賞料が¥500といった感じでした。二つ目は「日ひのみさき御碕灯とうだい台」です。島根半島最西端に位置し、明治36年4月1日に初点灯した組積造(外部側石積み内部側レンガ積みの二重構造)の高さ日本一を誇る白亜の灯台です。紺碧の海と空をバックにそびえ立つ姿は感動でした。また、163段のらせん階段を上って見る日本海に沈みゆく夕日も最高でした。この灯台は世界歴史的灯台100選に選ばれ、国の登録文化財にも指定されているとのことです。神在の月に神々が集う、縁結ぶ國出雲の大社が60年ぶりに迎える「平成の大遷宮」によって、新たに生まれ変わった御本殿は遠見にも凜とした姿であり、次の遷宮を迎えることのない我が身の胸に深く刻まれました。黒田桂市 KURODA keiichi From米沢支部第56回建築士会全国大会「しまね大会」に参加して。Page17TitleNameNumber会員だより7/7KURODA keiichi

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