クローバー第44号 平成29年2月15日発行
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022017・2・15ピロリ菌の正式な名前は「ヘリコバクター・ピロリ」です。胃の中は胃酸のために強い酸性となっているので、通常の菌は死んでしまいますが、ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素で胃液中の尿素を分解してアルカリ性のアンモニアを作り、自分の周囲だけ胃酸を中和して生きることができます。ピロリ菌は口から感染します。特にピロリ菌に感染しやすいのは乳幼児期と考えられています。ピロリ菌には日本人の50%以上が感染しているといわれており、特に50歳以上の人で感染している割合が高いとされています。ピロリ菌が関連する疾患として、①胃潰瘍、十二指腸潰瘍、②早期胃がんに対する内視鏡的治療後、③慢性胃炎(ピロリ感染胃炎)などが挙げられます。少し詳しく見てみますと、①胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者さんの80~90%はピロリ菌に感染していて、ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍の原因になっています。②別の部位にできる新しい胃がんの発症率が、早期胃がんに対して内視鏡治療を受けた患者さんにピロリ菌を除菌することにより3分の1に減少しました。③ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると炎症が起こり、感染が長く続くと胃粘膜の感染部位は広がっていき、最終的には胃粘膜全体に広がり慢性胃炎となります。この慢性胃炎をピロリ感染胃炎と呼び、その一部が胃がんに進行していきます。ピロリ感染胃炎は、除菌が成功すると改善します。ピロリ菌感染の診断法は、内視鏡検査を必要とするものと、しないものに分けることができます。内視鏡検査は、患者さんにとって内視鏡をのむという苦しみを伴うので、侵しんしゅう襲的診断法とも呼ばれます。内視鏡を必要としない検査法としては、血清抗体を測定する方法や、呼気中の二酸化炭素を分析する尿素呼気試験などが行われています。この検査法は苦痛がなく、感度も良くなってきているので、最近盛んに行われるようになりました。ピロリ菌に感染しているとわかったら、除菌治療が行われます。従来は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった病気に際しての除菌治療にのみ健康保険が適用されていましたが、2013年2月から慢性胃炎も健康保険の対象となっています。ピロリ菌除菌では、胃酸の分泌をおさえるプロトンポンプ阻害薬と2種類の抗生物質を朝夕2回、7日間服用します。この治療で約9割の方が除菌に成功します。1回で除菌できなかったら抗生物質を1種類変更し、再除菌を施行します。再除菌までが健康保険で施行することができます。ピロリ菌を除菌することは胃がんになるリスクを低下させます。ただし、除菌が成功したとしてもその後胃がんにならないわけではないので、定期的な胃がん検診を受けることが重要です。健康講座を開催します日 時 平成29年3月10日(金)午後4時から約1時間場 所 病院1階 エントランスホール講 師 管理栄養士 今野麻美   テーマ 「おいしい減塩のお話」どなたでも自由に参加できます。時間まで会場にお越しください。ピロリ菌って何者?外科医長張  一光健康講座この度、11月29日(火)に実施された「山形空港航空機消火救難訓練」に当院の医療救護班が参加しました。当院の医療救護班は山形空港に一番先に駆けつけることが可能であるため、実働訓練では他の医療救護班を統括するドクターコマンダーや各消防隊や関係機関と連携し救護所内をコントロールする重要な役割を担いました。訓練を通して様々な負傷者をいかに早く治療まで結びつけ、必要に応じて、いかに迅速に医療機関への搬送に繋げるかを他の医療救護班と協同し訓練を行ってきました。いざという時に、迅速かつ適切な医療救護活動ができるように、今後も積極的に訓練活動に参加し態勢を整えていきます。迅速かつ適切な医療救護活動のために傷病者対応傷病者の情報共有傷病者への処置の指示

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