クローバー第42号 平成28年7月1日発行
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022016・7・1 2015年の日本全国における乳がん罹患者数は89,400人であり、大腸がんの57,900人、肺がんの42,800人、胃がんの42,200人などを遥かに超えて、がんの罹患者数の第一位となっています。しかし、死亡者数では乳がんは13,800人であり、大腸がんの23,400人、肺がんの21,900人、胃がんの17,000人を下回っており、がんの死亡者数の第4位になっています(国立がん研究センターの2015年予測数より)。 このことは、乳がんは発生しやすいものの、ほかのがんに比べれば治療の効果がより期待できて、治る可能性が高いことを示しています。最近国立がん研究センターから発表された「がんの10年生存率」を見てみると、乳がんは80・4%となっており、8割以上の方がほぼ治っていると言っても良いでしょう。 ただし、がんの進行度合いを示すステージで見てみると、より早期の乳がんであるステージ1や2では生存率が90%を超えているのに対して、より進行しているステージ3や4では70%以下となっています。このことからも、より早く見つけてより早く治療を行うことがとても大切です。 より早く乳がんを見つけるためには、乳がん検診を積極的に利用するのが良いでしょう。その他には、自分で自分をチェックする自己検診も大切です。自己検診で重要なのは、いつもと同じであるかどうかを確認することです。そして、いつもと違う何かを感じたら、決してためらうことなく専門医の外来を受診しましょう。 数年前にアメリカの有名な女優が遺伝性乳がん検査陽性で手術を行ったため、遺伝性乳がんに対する不安を持つ方が日本でも多くなりました。しかし、そうした遺伝性乳がんは全体の5%から10%程度で決して多くありません。確かにそうではありますが、両親や兄弟姉妹の中に乳がんの方がいる場合は、念のために定期的に専門外来を受診することをお勧めします。 乳がんのリスクを下げるために、いくつか気をつけておくことがあります。その一番目はできるだけ肥満にならないことです。特に閉経後の方は、肥満による脂肪の蓄積が乳がんに関係するホルモンを増やすことが分かっています。二番目としてはたばこを止めることです。もし現在たばこを吸っているのであれば、いまからでもすぐに禁煙しましょう。禁煙することで乳がんリスクが33%低下します。三番目は過度の飲酒をしないことです。アルコールは少しなら(ビール1本あるいは日本酒1合程度)乳がんリスクを上げませんが、それ以上になると乳がんが1.5倍増えるとされています。お酒は節度を守って楽しく飲みましょう。乳腺外科医長鈴木 真彦知っていますか?乳がんのこと健康講座から 平成28年3月29日、国際ソロプチミスト東根さんより、車いす5台を寄贈していただきました。 高齢化社会が進むにつれ当院でも車いすを必要とされる患者さんは増えており、車いすの数が大変不足していました。今後有効に活用させていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。車いすをいただきました この度の熊本地震により、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災された皆様、並びにご家族の方々に対しまして心よりお見舞い申し上げます。 北村山公立病院では、今回の地震で、日本赤十字社の医療チームとして、医師、看護師、薬剤師、事務職員の計7名を派遣しました。 活動場所は、約650人が避難している町内の小学校内で、水道は止まっているため、ポリタンクや常駐している自衛隊の給水車からの水を利用していました。ボランティアによる清掃も行き届いていましたが、ほこりなどの粉塵が舞いやすい状態でした。ドクターカーを診療ブースとして利用し、車中泊されている方々に対する医療相談コーナーを立ち上げ、患者さんの診察を行いました。 また、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症:主に下肢の静脈(大腿静脈など)に血栓(凝固した血のかたまり)が生じ、静脈の狭窄・閉塞・炎症が生ずる疾患で、長時間同じ姿勢を取り続けていると発症します。)に対する予防啓発活動を行ってきました。 救護班が出来うることは、ほんのわずかな事に過ぎませんが、被災された方々に対して、心のケアとして長い援助と介入が必要と考えています。 当院では地域中核病院として、地元の医療を守りつつ、災害時には息の長い協力が提供できるよう、今後も体制を整えてまいりたいと思っております。 被災された皆様の一日も早い復旧と復興をお祈り申し上げます。熊本地震被災地へ医療救護班を派遣
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