クローバー第35号 平成25年2月15日発行
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02クローバー2014.2.15脳卒中の予防と治療脳神経外科医長 脳神経外科医長 齋藤 博文齋藤 博文 今回はソプラノ独唱とピアノのデュエットの演奏を、患者さんやご家族、病院スタッフなど約80名が楽しみました。 声楽を尾花沢市出身で山形北高音楽科講師の大類雅子さん、ピアノ伴奏を羽陽学園短期大学教授の田中ふみ子さんが担当し、「この道」や「マイ・フェア・レディ」など、懐かしくも心温まる曲の数々を、披露していただきました。 大類さん、田中さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。1.脳卒中とは 脳卒中とは脳の血管に起こる病気で、詰まって起こる脳梗塞と破れて起こる脳出血(脳内出血、くも膜下出血)があります。後遺症が残ると日常生活を送る上で重大な支障をきたすことになりかねません。また脳卒中は寝たきりとなる最大の原因となっています。2.脳卒中の危険因子とその予防① 高血圧  高血圧は脳出血、脳梗塞の両方にかかわる最大の危険因子で、高ければ高いほど脳卒中になりやすくなります。高齢者(65歳以上)では140/90未満、65歳未満の方では130/85未満が目標になります。  高血圧の予防には、肥満にならないこと、塩分の摂りすぎに注意をすること、適度の運動を習慣づけること、過度の飲酒を避けることなどが大切です。② 糖尿病  糖尿病があると脳卒中や心臓病を発症する危険性が3倍以上となります。糖尿病の予防には食事(カロリーの制限)と運動が大切であり、常々生活習慣に気を配る必要があります。③ 高脂血症(脂質異常症)  最近の日本の食事の変化で著しいのは脂肪摂取量の増加です。高脂血症があると動脈硬化や肥満を招き、高血圧や糖尿病などを合併しやすくなります。高脂血症の予防には、やはり食事と運動に気を配ることが大切です。④ 不整脈  心房細動のある人は、ない人に比べて3〜5倍脳梗塞(心原性脳塞栓症)になりやすくなります。くすり(抗凝固薬)の内服で発症を約7割抑えることができます。脈の乱れや動悸を感じる方は放っておかずに医師に相談してください。⑤ 喫煙  タバコを吸う人は、吸わない人に比べて脳卒中で死亡する危険性が2〜4倍になります。しかし禁煙すると数年で、脳卒中になる危険性は吸わない人と同程度になります。吸われる方は、今からでも遅くありませんので是非禁煙しましょう。⑥ 過度の飲酒  飲み過ぎると、脳卒中になりやすくなります。特に高血圧があると脳出血の危険性が高まります。1日飲酒量の目安としては、ビールなら500㎖、日本酒なら1合、ウィスキーならダブル1杯、ワインならグラス2杯以内までということになります。3.脳卒中の治療〜最新の話題〜① t-PA血栓溶解療法  血栓溶解薬(t-PA)を静脈内に投与する脳梗塞の治療法で、最近の健康講座から11月21日に開催した内容をご紹介しますホスピタル コンサートを 実施しました脳神経外科医長 齋藤 博文条件が整えば以前の治療法よりも症状の改善・消失が期待されています。ただ、発症から4.5時間以内に治療を開始する必要があり、発症したら直ちに病院に搬送されるかどうかが最大の課題となります。② 脳動脈瘤に対する血管内手術  くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤に対しては開頭によるクリッピング術が一般的でしたが、近年動脈内からカテーテルという細い管を進めて動脈瘤をその内部からコイルで塞いでしまう、脳動脈瘤コイル塞栓術がしばしば行われるようになりました。いろんな条件はありますが、高齢者や開頭術が困難な方にも対応できるようになりました。4.脳卒中にならないために 脳卒中の予防には、生活習慣に気を配り高血圧や糖尿病、高脂血症などの危険因子を持たないようにすることが何より重要ですが、持ってしまっても放っておかないでそれぞれの危険因子にしっかり対応することが必要です。健康診断を定期的に行い異常の早期発見に努め、異常があればかかりつけ医の先生に相談し、早期の治療に心がけましょう。ふさ

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