宮城県「あじ島」の高齢者に生きがいもたらす異世代交流体験 【動画】
コンセプトは「昔の夏休み」の体験
宮城県牡鹿町の網地島は、人口約五百五十人、六十五歳以上の高齢者の割合が約七割を占める。平成十二年三月に小中学校がなくなり、今では元気な子供の声がほとんど聞こえない、人口の流出と高齢化の問題を抱えた島である。活気ある地域づくりのために、何かできることはないかと島のみんなで考え、実施したのが子供の体験学習「あじ島冒険楽校」である。あじ島冒険楽校は、網地島の自然と島の人々の技を活かした、手作りの楽校でもある。
閉校施設をリニューアルして再利用
平成十六年七月から八月にかけて、ウニ、アワビ、ホヤの三コースを開催し、宮城県内の約百人の子供たちを受け入れた。宿泊は閉校した中学校をリニューアルした「島の楽校」だ。体験したメニューはシーカヤック、肝だめし、流木を使ったクラフト作り、あじ島冒険楽校のロゴを入れたTシャツ作り、植物観察、磯観察、島の伝統技法による魚釣り、バクダン(お米をポップコーンのようにふくらませた菓子作り。昔の祭りでは、子供たちに人気があった)など、盛りだくさんな内容になった。
楽しみの食事は、コースの名前の通り、取れたてのウニやアワビにみんな大満足。魚釣りでは、多くの子供たちが生まれて初めてにもかかわらず、ほとんど全員が魚を釣り上げた。さっそく浜辺で焼いて全部食べた。また、四キロ離れた牡鹿町鮎川の「鯨祭り」の花火を、島の高齢者が子供のころにしたのと同じように、港の岸壁にゴザを敷き寝っころびながら見た。どれをとっても、貴重な体験になった。
冒険楽校を支える応援団と元気を取り戻した高齢者
冒険楽校では、NPO法人宮城県インストラクター協会などと協働で、流木を使ったクラフト作りなど、体験メニューの開発を行った。また、三十五年前に網地島の網長中学校に赴任し、島の植物を研究した高橋和吉先生にも参加いただき、島特有の植物について、興味深い話を聞いた。さらに、冒険楽校のスタッフとして大学生のリーダーにサポートしてもらい、冒険楽校の応援団の輪が一段と広がった。
活気を失い暗くなりがちな網地島を、冒険楽校の子供たちの大きな歓声で明るくすることができた。島の高齢者も子供たちを見ると、積極的に「どこから来たの?」「船に酔わなかったかい?」などの言葉を掛け、島ではめったに見かけない子供との交流を楽しんだ。島の高齢者は子供たちから大きな元気をもらい、冒険楽校の取り組みに自信を深め、生きがいを見いだすことができた。また、子供たちにとっても、島で過ごした夏休みが一生忘れられない思い出になったようだ。

